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劇場版「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」を見る前に押さえておくべきこと

フジテレビ系列で放送され人気を博した「コードブルー ドクターヘリ緊急救命」、その劇場版が7月27日(金)より全国公開となります。

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劇場版公開に先駆けて、今作を見る前に押さえておきたい知識やポイントをおさらいしていきます。

 

コード・ブルー」とは

4人の若者が、医療現場の壮絶な現実の前に無力に立ち尽くすところからはじまり、少しずつ少しずつ成長し進んでいく様を丁寧に描いた傑作医療青春群像劇。

2008年に第1話が放映されて以来10年、現在までにシーズン3までが放映され、若者たちは今や後輩を育てる一人前の医師として活躍しています。

 劇場版の前に押さえておくべきことは?

劇場版はシーズン3の後の話なので、基本的にはドラマが視聴済みであることが前提の物語になっているかと思われます。

今回は、スペシャルドラマも含めて全話をリアルタイムで視聴してきた筆者が、劇場版を見る前に最低限押さえておくべきキャラクターやエピソードをざっと解説していきます。

全話視聴済みの方は見る前の簡単なおさらいに、一部のみ見ていた方は知識の補強にご利用ください。

もちろん、まだドラマ「コード・ブルー」を見たことがないけど劇場版は見に行く予定という方も、この記事を読めば最低限の前提知識は手に入れることができると思います。

 

キャラクター紹介と各キャラのこれまでの軌跡

5人の主人公

・藍沢耕作(山下智久)

翔陽大学付属北部病院救命救急センターに赴任してきた4人のフェローの1人で、赴任当初から抜きん出たスキルを持っていた。

ストイックでクールな性格で、仕事以外のことにほとんど興味がない。

ひとつでも多くの症例を見て名医になるという野望を持ち、フライトドクターもそのための手段と見なしている節がある。

シーズン1では、患者に感情移入せず、困難な症例もあくまで自分の成長のための練習台だと思っていた。

だが、事故でやむなく恩師黒田の腕を切断し医師生命を奪ったことや、入院してきた祖母絹枝との関わりの中で、自分の医療の在り方について深く考え悩むようになる。

シーズン2では父親との関係も描かれ、医師としてだけでなく、人間としても一回り成長を見せる。

シーズン3では同病院の脳外科医として働いていたが、人手不足の救命に請われる形で一時的に再びフライトドクターとなる。

新たに配属されたフェロー達には厳しい態度で臨むため嫌われがちだが、恩師黒田の教え方に似た、とにかくやらせて駄目なら引き取るという方法をとり、褒めるときは褒めるため、図らずも徐々にフェローから信頼を得ていく。

また、シリーズ当初は無関心だった同期たちに対しても、幾多の苦難を共にすることで徐々に信頼し、災害現場での指揮のミスへの自責の念に悩む白石に対し「お前だから命を預けられる」と言った言葉をかけたり、初めは劣等生だった藤川に対し「お前はすごいよ。もう救命になくてはならない存在だ」と素直に賞賛するなど、心を開く場面が目立った。

最後には脳外科医として世界でもトップクラスの症例数を誇るトロント大へと赴任することになる。

他のメンバーと違うのは、外科医としての技術について己の無力に悩むという場面がほとんどなく、主に患者と自分の距離感について、自分の医師としての在り方について思い悩むことが多い。

 

・白石恵(新垣結衣)

4人のフェローの1人として赴任、フライトドクターを目指す。

生真面目な性格で優等生タイプ、たまに天然が入る。

赴任当初はヘリで現場へ行っても何もできず、自分の無力さに打ちひしがれることに。

現場で事故から自分を庇った黒田が腕を切断し医師生命を絶たれたことから自分を責め、一時はヘリに乗ることができなくなった。

しかし黒田の「誰よりも多くヘリに乗れ」という言葉を受け、フライトドクターとして成長していく。

その真面目で冷静な性格からリーダーの役割を担うことが多く、また大規模災害現場でのトリアージ(優先順位付け)という辛い役割を担うこともある。

シーズン3ではスタッフリーダーとして黒田の救命チームを越えることを目指しているが、慢性的な人手不足や、フェロー達への接し方なども思うようにいかず、藍沢の無自覚な教育のうまさに悔しがることもあった。

主に現場でのリーダーシップについて悩むことが多く、患者のみならず医療スタッフの命までも預かる責任の重さに、押しつぶされそうになりながらも歯を食いしばってメンバーのために奮闘する姿が描かれる。

また思い悩む藍沢を後ろから後押しすることも多い。

寝相が異常に良く、棺桶に入っているような姿勢で仮眠していることがあり、藍沢がびっくりする珍しい場面がある。

 

・緋山美帆子(戸田恵梨香)

4人のフェローの一人。プライドが高くがさつな性格だが、情に厚く誰よりも患者に寄り添う。

フェロー時代は主に三井の側で学び、影響を受ける。やはり当初は現場では何も出来ず無力を思い知らされた。

三井が見守る中、患者への麻痺の告知など難しい問題をこなしていき成長していく。

シーズン2では患者への感情移入が原因となって医療訴訟騒ぎを経験し、それが元で患者と接することにトラウマを抱くようになってしまう。

ラストに起こる飛行機不時着事故での患者との関わりの中でそのトラウマを克服し、患者に寄り添う医師として歩んでいく。

シーズン3では周産期医療センターに勤めていたが、人手不足の救命に戻るよう恩師三井に頼み込まれて戻ってくる。

そのキャリアを生かし、現場でも妊婦への検診・処置や突発的な出産への対応を得意とする。

患者としてやってきた元料理人の緒方と恋仲になるが、自らのキャリアの今後について、恋と仕事について悩みが尽きない。

藍沢とはまた違った意味で患者との向き合い方に苦悩する立ち場であり、それを持ち前の熱さと優しさで突破していくため、啖呵を切る場面も多いが不思議と憎まれないキャラ。

ちなみにスペシャルドラマでの列車からの転落、シーズン3でのエボラ出血熱への感染疑いなど、救命で最も多く死にかけた人物である。

 

・藤川一男(浅利陽介

4人のフェローの一人で、もっとも出来の悪い劣等生だった。生来お調子者の性格だが、なにごとにも粘り強く、簡単には折れない。

シーズン1では、赴任してからミスを繰り返し、電気ショックで患者もろとも感電するなどの失態に、黒田からも「他の病院へ行け」と勧告されるなど、戦力外の烙印を押され、シーズン最終話までヘリに乗ることができなかった。

だが、辞めろと言われようと「ここしかない」と思いをぶつけ、最終的にヘリに乗って災害現場へ向かうことになる。

スペシャルドラマでは、やはり新任でパニックに陥っているレスキュー隊員を自らとだぶらせて穏やかになだめ、藤川を一度は諦めかけていた黒田の指導のもと、困難な状況で初めてのケースの手術を成功させるなど著しい成長を見せた。

シーズン2では冴島に思いを寄せ、恋人を亡くすことになる彼女にやさしく寄り添い、励まし続けた。

シーズン3では、藍沢をして「お前はもう救命になくてはならない」と言わせるほど、医師として、人間としての成長を遂げ、相変わらずのお調子者の性格ながら、困難な現場で自らが負傷しながらもまず患者のことを考える医師としての姿を見せつけた。

自分が出来のいいフェローではなかった自覚からか、新たな3人のフェローに対しても基本的に声を荒げることもなく、いい兄貴分といった立ち位置で見守っている。

冴島と同棲しており、彼女のおなかに子供もいたが流産。冴島が自らを責め苦しむ中で共に悲しみ、「大切な人を失い続けてきた彼女に自分までも失う思いをさせてはならない」と、危険と隣り合わせのフライトドクターを辞める決意をするが、冴島の願いにより最後はとどまった。

劣等生としてはじまり、全シーズンを通してもっとも無力感を味わい続け、もっとも伸びしろをみせた人物。

僕は藤川の顔を見るだけで泣けます。

 

・冴島はるか(比嘉愛未

フライトドクターと共に現場に急行し医師をサポートするフライトナース。

並みの医師をしのぐスキルと知識を持つが、医師になりたくてもなれなかった過去を持つ。

そのため医師のくせに現場であたふたするしかないフェロー達を最初は見下すようにしていたが、彼らと現場を共にするうちに徐々に認めていく。

シーズン2では、不治の病におかされた恋人の田沢との関係がフューチャーされ、藤川に励まされながら最期まで寄り添い(最後の瞬間はフライトが入り看取れなかったが)、気持ちに区切りをつけた。

シーズン3ではつらいときに側にいてくれた藤川と付き合っており、同棲して妊娠もしている。

だがフライトナースの仕事も面白く、結婚して家庭に入るという選択を思いきることができないでいた。

おなかの子を流産し、「私はいいお母さんじゃなかった」と深く傷つくが、藤川とともに悲しみに向き合いながら現場復帰を果たす。

10年を経て冴島のスキルは現場でもなくてはならないものとなっており、医師たちの意図の先を読んでサポートし、アクロバティックな治療にも的確についていくなど、後輩ナースの幸村にその存在感を見せつけた。

基本的には気が強く、怒らせるとすごく怖い。冴島がいることを知らずに白石と緋山が彼女の悪口を言いあっている現場に居合わせた藍沢が「お前ら勇気あるな」と慄いていたほど。

当然藤川は彼女に頭があがらない。

現場での力強く凛とした姿と、最愛の人を亡くし続ける悲しみと脆さを併せ持つ人物。

 

 5人の主人公を導くシニアドクター達

・黒田脩二(柳葉敏郎

湘北救命センターのエースにして、ドクターヘリ事業設立の立役者。

藍沢らフェロー達を教える立場だが、無能なだけのフェローを嫌っており、使えないと判断すれば切り捨てることをためらわない。

だが医師としては一流であり、また真摯に医療に向き合う姿勢が藍沢達に影響を与えていく。

外科医としては一流の腕だが、傲慢な性格が災いして家庭生活は失敗している。

シーズン1にて事故のため腕を使えなくなり、外科医としての生命を絶たれる。

一時は意気消沈し病院を去るも、その後のシリーズではフェロー達に口頭で手術のアドバイスをするなど影響力を発揮した。 

現在は産業医をしているらしく、妻子とも和解し家庭生活も取り戻しつつある。

藍沢達フェローが最も認められたい恩師であり、劇場版での再登場が期待される一人です。

 

 ・三井環奈(りょう)

シニアドクター。産婦人科医を専門とする。

やさしさと厳しさを併せ持ち、特に白石や緋山とは同じ女性ということもあってか関わりが深い。

橘とは元夫婦で、優輔という心臓の難病を抱えた息子がおり、シーズン3では息子のために人手不足の救命を離れざるを得ず、緋山のキャリアに不利となることを承知で戻るように頼み込んでいる。

一度は医療の現場を離れたが、息子も治療が成功したことで、劇場版で再び勇姿を見ることができるのでしょうか?

 

・森本忠士(勝村政信

シニアドクター。

いつもヘリのオペレーター室でだべっている、おちゃらけたキャラの医師だが、フライトドクターとしては百戦錬磨。

主に藤川の面倒を見、落ち込むことの多い彼を何かと無責任に茶化したり励ましたりしている。

シーズン3では登場せず。

劇場版で再登場なるか?

 

・橘啓介(椎名桔平

シーズン2より登場。黒田の後任として配属されたフライトドクター。

ひょうひょうとした性格でいつも冗談を言っているようだが、脳外科医の西条に指導され、腕は確か。

フェロー一人ひとりをしっかりと見ており、白石をスタッフリーダーに抜擢したのも彼女の特性を見抜いてのこと。

三井との間に優輔という息子がおり、心臓移植のドナーの適合者が現れるのを待っている。しかしそれは取りも直さず息子と同じ年頃の子供が死ぬのを待つことと同義であり、それを見抜かれて息子に「新聞で子供が死んだニュースを探すお父さんが嫌い」と言われてしまう。

シーズン3では人手不足の救命と息子の難病とで頭を抱えている場面が多く、あまりフェロー達に関して突っ込んだ関わりを持つこともできなかったようだが、息子の問題が解決した今、さらなる活躍が期待されます。

 

シーズン3より登場の新たなフェロー達

・名取颯馬(有岡大貴)

シーズン3で新たにやってきた3人のフェローの一人。

大病院の息子で、父に言われて仕方なく配属された。

いまいちやる気が見えず、失敗しても「次頑張ればいい」と言い放って「次はないんだよ」と白石の叱責を買う場面もあった。

失敗すると焦りと反発から心にもないことを言ってしまう癖があるが、その実罪悪感にかられていることも多く、最後には素直に失態を取り返すべく行動することも多い。

主に緋山に面倒を見てもらっており、彼女にひそかに片思いしている。

 

・灰谷俊平(成田凌

シーズン3で新たにやってきた3人のフェローの一人。

自分を助けてくれたフライトドクターに憧れて目指しているが、要領が悪く、人付き合いも苦手と、自分に自信がなく、常に劣等感に悩んでいる。

フライト中に患者を思ってパイロットを急かすような言動がきっかけとなってヘリが不時着してしまい、そのことがトラウマとなってヘリに乗れなくなってしまう。

(この時のエピソードが7月28日(土)に劇場版公開記念スペシャルドラマとなってフジテレビ系列で放送予定)

シーズン3最終話では病院に残って搬送されてきた患者を診るが、注意深く根気強い観察によりわかりづらい症状を見事に見抜き、患者を救っている。

 

横峯あかり(新木優子

シーズン3で新たにやってきた3人のフェローの一人。

テレビドラマ(救命病棟24時)を見て憧れて医者になった。

最初の現場ではパニックに陥り何もできなかったが、藍沢に諭され落ち着きを取り戻すと治療プランを的確に示すなど、本来の能力の片りんを見せた。

性格は今風のとらえどころのない女性に見えるが、誰とでもうちとけることができ、気難しい雪村や、おどおどしがちな灰谷ともわだかまりなく話ができる。

全力を尽くしたうえでの判断が患者を死なせるなど、手痛い失敗も多いが、着実に成長を見せる。

 

 ・雪村双葉(馬場ふみか

 新人フライトナース。

3人のフェローとほぼ同期であるが、とにかく早くひとり立ちしたいという思いが強く、ベテランナースの冴島にもライバル心を隠さないほど独立志向が強い。

周囲にもとけこもうとしないためとっつきずらく、また患者との精神的な付き合いをナースの仕事ではないと割り切っている。

だが冴島の仕事ぶりを見せられ、徐々にフライトナースとしての幅を広げていく必要を感じ始める。

劇場版では彼女の母が登場し、重要な役どころとなりそうです。

 

 

「ドクターヘリ」とは? 

ヘリを使用して、救急搬送が間に合わない病気、事故や災害現場に直接医師を送り込むことで患者の生存率を上げる仕組みのこと。

 翔陽大学附属北部病院救命救急センターは全国でも有数の「ドクターヘリ」を導入した救命救急センターであり、千葉県全域へとヘリで医師を派遣する。

その現場に乗り込む医師が「フライトドクター」であり、現場でレスキュー隊員や消防、警察などのチーム全体を統括・指揮することもある、高いスキルを持ったプロフェッショナルでなくてはならない。

「ドクターヘリ」にはパイロット2名のほか、主にシニアドクター1名、フェロードクター1名、フライトナース1名が乗り込む。

 

劇場版では「成田空港航空機不時着事故」と「海ホタルフェリー衝突事故」が同時に発生、どちらも翔北救命救急センターの管轄範囲であることから、彼らの一番長い日となることが容易に想像できます。

 

以上、劇場版「コード・ブルー」を見る前に押さえておくべきキャラクターや設定の解説でした。

今作は医療現場をめぐる群像劇ということもあり、各シーズンのあらすじを追うことはそのままキャラクター達の軌跡を追うということでもあったので、このように人物紹介の中で全体の大まかなあらすじをも追えるよう努めました。

少しでも参考になれば幸いです。

劇場版「コードブルー ドクター・ヘリ緊急救命」、10年走り続けてきた彼らの行く末をぜひ劇場で見届けましょう!